計算のコスト

半経験法(AM1)で得た2-プロペノールを初期構造としてHatree-Fock法で構造最適化したとき、基底関数による計算所要時間及びファイルサイズを調べてみました。
同じ初期配座を使って構造最適化しました。
計算はSpartan 04 を用い、Pentium 4 (3.6 GHz) 2Gb RAM, WindowsXP の条件で行いました。
より厳密な基底関数を用いれば、必要な計算時間も長くなることが判ります。例では、2-プロぺノールと極めて簡単な分子を用いておりますが、6-311+G**では2分弱計算時間を要しました。むやみに計算の精度を上げればよいということではなく、計算の必要とするレベルを考えて基底関数を選ぶ必要があります。

HF法を用いたときの計算所要時間、ファイルサイズに基底関数の与える影響。
基底関数 計算時間(秒) 相対所要時間
(STO-3G = 1)
繰り返し回数 ファイルサイズ(kB)
STO-3G 1.6 1 10 95
3-21G 2.5 1.6 8 160
6-31G* 17.5 10.9 8 276
6-31G** 31.9 19.9 8 392
6-31+G* 36.2 22.6 7 497
6-311G* 36 22.5 8 393
6-311+G** 104.7 65.4 6 786
 
 
Møller –Plesset 法、密度汎関数法(DFT)法)についても調べてみました。この実験では基底関数は6-31G**に固定しています。計算時間はHF法に比べて4倍から5倍の時間がかかる事が判りました。
計算方法 基底関数 計算時間(秒) 相対所要時間(STO-3G = 1) 繰り返し回数 ファイルサイズ(kB)
HF 6-31G** 31.9 1 8 392
DFT BP 6-31G** 134.7 4.22 7 515
BLYP 6-31G** 132.8 4.16 7 515
FDF1 6-31G** 134.3 4.21 7 516
B3LYP 6-31G** 135.8 4.26 7 514
M?ller-Plesset MP2 6-31G** 183.5 5.751 8 501